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動態俯瞰


 
 たとえば、こういう考え方があります。
 「社会は二階建ての構造になっている。一階部分の下部構造は経済制度・経済的諸関係であり、二階部分の上部構造は、政治や法律制度、イデオロギーである。そして、上部構造は常に下部構造によって規定される」というものです。下部構造である経済構造が変化することで、上部構造である人間生活の精神的部分やイデオロギーも変化していくとする理論です。
 これは、さまざま批判のある理論ですが、でも僕は、社会の動態を考える上でとても有効な理論なのではないか、と感じています。
 小学生や中学生の自殺問題。受験対応に奔走されている教育現場。「子殺し」を行う親の存在。環境破壊の問題。「金儲けは悪いことですか?」とテレビの前で話す投資家の存在。地域社会の崩壊の問題・・・・。数え上げればきりがないほど諸問題が山積しています。
 これら一つ一つの問題を一つ一つのカテゴリーの中だけで解決をめざしていくことは、もう限界が生じているのではないか、と思うのです。下部構造である経済的構造、諸関係に目を向け、改善していく必要性が迫られているのだと思います。
 最近はやりの「新自由主義」といわれる経済構造とは、どういう人たちを中心に据えた経済なのか、この経済は、どのような社会構造、人間の行動を作り出しているか。日本国民の圧倒的多数の人々は、または、自分自身はどのような階層の人間なのか。改めて考え、みつめ直す必要があるのではないかと感じます。

                   2006年11月4日


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